2014年1月27日月曜日

ホールの仕事

先日、公共ホールの連盟の研修会に行って来ました。その中で、
「限られた予算の中で、どうやって事業(イベント)をしてますか?」
という話題になったのですが、とある館から、
「プロモーターを通していては、よけいなマージンを取られます。
 個人のコネクションを存分に活かして、なるべく余計な費用を
 かけずに事業をしています」
という実例が紹介されました。

これは、よくある話です。

しかし、現状の公共ホールの問題を多く孕んでいると思うのです。

現状、公共ホールで働くスタッフは、買い手市場です。
事業を運営しているスタッフの多くは嘱託職員(契約社員)で、
大卒初任給よりも安い月給で雇われている人も少なくありません。
都心でも17万、地方なら14万、11万なんていう募集もよく目にします。
(しかも、手取りでなく額面)
5年雇い止めの法律ができたので、頑張っても5年までしか働けないし
1年ごとの更新、長くて3年、指定管理が切れたら即クビ、なんてところが
ほんとに多いです。実感として7割くらいはそうだと思います。

にもかかわらず、そんなスタッフに自分のコネクションまで「持ち出し」
させよう、と言うのは果たして…。

だって、例えば保険の外交の人がノルマを達成する為に、家族や親戚に
無理矢理保険に入ってもらうのと、似てませんか?(ブラック企業的な)
それと、個人的な繋がりを以て、アーティストに安く来てもらおう、と
言うのは、あまり違わないのでは?と思うのです。


例えば、館長とか、芸術監督とか、その館の“顔”となるべき人が
コネクションや経験や、ネットワークを駆使すると言うなら分かります。
しかし、事業をいくら安くやっても、上手くやっても、その人の
名前や顔が決して表に出るわけではないスタッフの個人的な財産まで
ねだろうと言うのは、ちょっと違うような気がします。



そして、求められるがままに、すべてを投げ出してしまう側にも
問題があるのではないでしょうか。
加えて、「やりたい事(芸術文化の仕事)をやってるんだから、お給料
安くても仕方ない」「やりたい事やってるんだから、そのコネクション
差し出してよ」という考えを両者とも持っているのも、どうかな〜。


もちろん、反対意見もあるでしょうし、
二項対立では住まない問題であると思います。
事実、私もそう言う事をしてきました。
しかし、それをデフォルトとしてまかり通らせるのは、
私はやっぱり、嫌だな、と思います。

私はとても恵まれた環境で働かせていただいていますが、
少しのかけ違いで、不幸な搾取になっているところもあるし、
薄氷を踏むが如き状況のホール運営のパワーバランスってのも、なぁ…。
なんて思うのです。



公共ホールの未来が、少しでも明るくなるように。


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