「女殺油地獄」
字面だけでもなんとおどろおどろしい。
知っている方も多いと思いますが、近松門左衛門の名作です。
今日は、この演目の千秋楽。
人形浄瑠璃で観てきました。
この写真の与兵衛くん、金持ちのぼんぼんなのに、放蕩三昧。
おまけに家庭内暴力はするわ、異父兄妹のおかちに嘘はつかせるわ
借金はあちこちで作るわ、のどうしょうもない若者。
ついに家を勘当され、近所の油屋の奥さん(お吉)を
遊ぶ金と借金返済のお金欲しさに殺してしまう、というお話。
殺す場所が油屋の店内で、逃げ惑うお吉が油壷をなぎ倒したり
升や漏斗を投げ、辺りは油まみれ。
その中を、つるつるつるつる滑りながら逃げ、殺し、という
凄まじい場があるのです。
いやぁ、これ。
与兵衛くんも悪いけど、甘やかした親が悪い。
継父ということで、与兵衛くんの好き放題を咎めない父親。
「いつかは心を入れ替えて店を継いでくれる」と甘やかす母親。
きっと、与兵衛くんが求めた愛情は、そんなものではなくて
ちゃんと自分と向き合ってくれる親、だったんだろうなぁ。
呂勢太夫さんの情あふるる語りは今日も全開で、
寛太郎さんの絢爛な三味線は聴きごたえ抜群でした。
そして、病気休演の燕三さんの代役を務め清志郎さん。
最初は「大丈夫?なんだかむちゃくちゃ不安そう(お顔立ち??)。
と思っていましたが、クライマックスに向かってメキメキと
勢いを増す三味線!
こんなにタフな三味線を弾かはる人なんや、と。
それにしても、返す返すこの作品。
教訓めいたくだりは一切ないものの、いろいろ考えさせられます。
0 件のコメント:
コメントを投稿