アイホールで上演中の青年団「月の岬」を観てきました。
本当は…。京都芸術センターでの東京ELECTROCKの「最後にあう、BLUE」
を見る予定だったのですが、どうしても吉本有輝子さんの照明が観たくて。
吉本さんは、維新派や山海塾、少し前までは地点の照明などもされていた、
凄く素敵な照明家さんです。
海の底から空を見上げるような、透明感と奥行きのある、とても私的な照明
をつくられます。
私はもともと、朝倉摂さん、という舞台美術家さんが大好きなのですが、
朝倉さんとよく組んでおられる照明の巨匠、吉井澄雄さんのコンビの作る
舞台がすごく素敵で、そこから照明の美しさを知ることになりました。
ミュージカルの現場で、命をかけて照明を作っている現場スタッフの熱意
を見たことも、影響してるのかも知れません。
話はそれましたが、今回もそれはそれは美しい照明でした。
そして、「月の岬」という作品も、素敵でした。すっかり成人している
姉と弟にまつわる人々(妻や妹、昔の恋人?、妹の連れ合い、など)の
暮らしをスケッチのように描いた作品なのですが、弟の結婚式から物語は
始まり、どんどん暮らしの色んな綻びが見えて来る、そんな内容です
(あ、ばらしちゃった)。
15年前の初演の頃も、姉と弟の関係性が近親相姦的だ、という批評が
あったそうで、同じ公演を観ていた知人と話していたのですが、「そういう
意見を持つのって、案外男性なのかもね」と。男女の性差がどこまで
影響するのか分かりませんが、同性愛、近親相姦など、血のタブー的な
ものに関して鷹揚なのは得てして女性な気がします。
あと、最後に弟の連れ合い(妻)が、失踪した姉の帯締めを(勝手に)
借りている、というシーンがあるのですが、オリザさんはそれを連綿と
繋がる「継承」と仰っていたのですが、私は新参者が徐々に”家”を凌駕
し始める強かさというか、浸食、というイメージを持ちました。
演劇は、ダンスに比べて文脈がはっきりしている分、却っていろんな
解釈があり、それが面白いです。
一つの鏡が演劇だとしたら、その鏡の大きさも、形も、重さも明らか
なのに、何が映るのか、何を映すのかは百人いれば百人違う。
その鏡の形状は、ダンスよりもより具体的なのが、演劇、という気がします。
あー、だんだん着地点を見失ってきたので、今日はここまで(笑)。
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